Phil Woods: Woodlore (Prestige)

woodlore

フィル・ウッズはヨーロッパ・リズム・マシーン時代のギラギラとしてメタリックというかメカニカルな吹き過ぎ感が強烈に印象に残っていて、一時期敬して遠ざけていました。その後、『ビッグ・コミック・オリジナル』というマンガ誌に連載されていた「風の大地」というゴルフマンガを読むでもなく眺めていたら、なんだかフィル・ウッズっぽい白人アルティストが取り上げられていて(バド・シャンクっぽくもあるんですが)一回腰をすえて聴いてみようという気になりました。初期から中期、そして近作まで聴いてみましたが、自分にとってツボだったのはやはり、若い頃の作品、とりわけ、『ウォーム・ウッズ』や『ウッドロア』、『スガン』などでした。アート・ペッパーほど情感を絡ませず、かといってリー・コニッツのように高踏的で超俗的でもないアルトです。程よい情感と、程よい哀愁、程よいブルース・フィーリングと優れた楽器のコントロールといった印象で、そつがないというのか駄作がない印象です。

今日取り上げる『ウッドロア』は1955年11月25日のセッション、ウッズ24歳の時です。メンバーはウッズ(as)の他、ジョン・ウィリアムス(p)、テディー・コティック(b)、ニック・スタビュラス(ds)という編成で、若きウッズがワンホーンでのびのびと吹いたアルバム。

1曲目でタイトル・チューンの "Woodlore"。ウッズのオリジナル曲で、軽快なミディアム・テンポ。流れるようなテーマ演奏から、ブレイクを経てアドリブに突入すると「パーカー・フレーズ」を分かりやすく溶け込ませながらのプレイ。続いてジョン・ウィリアムスによるピアノ・ソロは左手が活躍するブギウギスタイルで面白くなっています。そのあとはアルト対ドラムの4バースになりエンディング。

2曲目のバラード、"Falling in Love All Over Again" では、蕩けるようなウッズのアルト・サウンドが聴けます。冒頭からグリッサンドをかけたオフ・ピッチの音色で惹きつけ、華麗なキーワークでしっとりと歌い上げる。ピアノが手数の多いタイプですが、ここではアルトを鼓舞するように上手くマッチしています。エンディング処理は「上手い!」の一言。

3曲目は "Be My Love"。ルー・ドナルドソンも取り組んだスタンダードで、聴き比べてみるのも面白いかも。この曲はアップテンポで賑やかにやっても哀愁が含まれている曲。ルーには確かに哀愁がありますが、ウッズの哀愁はただ事ではない。パーカーのフレージングを混ぜ込みながら、翳りのあるフレージングが光っています。ピアノもバップ語法から少しずれた独自性のあるソロを取っています。再び4バースを経てテーマに戻って終わり。

4曲目 "On a Slow Boat to China" はロリンズの名作が光りますが、結構古い曲。ロリンズが悠然とリズムに後ろから乗っていくのに対して、ウッズは突っかけ気味に吹きます。アドリブに突入してもそのまま疾走。それでいて構成はしっかり考えられているところがさすがです。

5曲目は "Get Happy"。チョッパヤです。リフの畳みかけが多いもののバップの醍醐味を感じさせ、レコーディング時間の限界までといった感じでコーラスを重ねます。バリバリ吹くパーカー直系の面目躍如です。

ラストはオリジナル、といってもブルースの "Strolling with Pam"。ウッズのブルース・プレイの典型的な演奏となっています。

CDになって別テイクが追加されましたが、別テイクなのでここでは触れません。

ウッズ青春の輝きを捉えた名アルバムです。


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